Corporate 2022.06.22

副社長兼CFO中村が語る ジェネラリストなコーポレート人材 ―後編― コーポレート人材に求められるもの

前編では中村さんのこれまでのキャリアについてお話を伺いました。コーポレートの役割を戦略的な事業の成長サポートであると語る中村さんでしたが、後編ではコーポレート組織・人材にとって重要なことについて語ります。強いコーポレート組織を作るもの、コーポレート人材に求められるものとはー?

 

強いコーポレート組織にするためには、「攻める」がキーワード


―中村さんは、コーポレートの役割の中で重要なのは何だと考えていますか?

中村:
BEENOSグループにおいてコーポレートの役割は、事業が成長し数字を伸ばしやすい様にサポートすることだと思っています。各部門に共通して言えることですが、例えば、広報の施策を通じて認知や理解度を高めてそれが売上に繋がったり、経理だと数字が見えるようにすることで次の打ち手も見えるようになる、法務は潜在的なリスクを把握することで失敗を未然に防いて攻められるようになる等、それぞれの部門が事業会社が成長することを横でサポートして欲しいと思っています。戦略的な管理部門でありたいというのはずっと思っていて 受け身ではなくて攻めていきたい。例えば法務では、リスクをすべて排除していけばリスクはなくなりますが、成長にはつながらないですよね。どこまで攻めるかを判断するのは経営者だと思うんですけど、その判断をするための材料をきちんと伝えていくことが我々の役割だと思います。攻めることを意識してやっていきたいと思っています。 

―強いコーポレート組織とはどういう組織だと考えていますか?

中村:
やっぱり「攻める」がキーワードだと思うんです。守りではなく攻めるためにはどういう動きが必要か示せる部門だと。経理も決算を締めるだけでは起きたことを数字に表していくという受け身の状態だと思うんですが、決算数値をもとに、ここはもっと効率化できるんじゃないかとか提案できるようになると攻めになる。よく言うのはCEOとCFOの役割なんですが、CEOはエンジンであり進むべき方向へと導いていく役割だと思うんですけど、CFOはダッシュボード、状態を数字で見える化する役割だと思っています。決してブレーキの役割ではないと思っています。そういう役割をコーポレート全体に求めていて、見える化することで、そこで現れた数字や分析結果に対してこんなことができるんじゃないかと提案できるような部門であってほしいですね。

コーポレートの人材としては専門性を持ちながらもジェネラリストのほうが良い


―私は本日、中村さんが証券会社、上場前スタートアップでの複数部門のご経験、事業責任者など、えっ、そこまで?と思ってしまう程に様々なご経験をされたことを知りました。強いコーポレート人材ということで考えた際、同様に複数の経験や専門性を持つ方が良いと思いますか?

中村:
コーポレートの人材としては専門性を持ちながらもジェネラリストのほうがいいと僕は思っています。僕以外の人も複数の専門性を持っている印象があります。コーポレートのメンバーは最初から一つのことをやっているという人は少なくて、例えば法務室長の亀井くんはtensoのCS業務の経験もあるし、リスクマネジメント室長の大槻くんは、内部統制以外にも経理や社内インフラの経験もある。財務経理室長の吉元くんは前職では飲食関連の事業にも携わっていた。みんな今の専門性以外の経験をしているんです。コーポレートの人たちはみんな多様なキャリアを持っていると思います。

―複数部門に専門性を持つようなキャリアを推奨していますか?

中村:
そうですね。今、月例会などで他の部署の仕事ぶりを聞く機会が増えていてとても良いことだと思っています。他部署のことを知ろうとしなかったり、わかっていないとそれが原因で軋轢を生んだりしていたんです。今はそういうことがなくなっていると感じます。やっぱり他の人の仕事ぶりを見ていることはコミュニケーションを取る上で会ったり会話したりしていく上でとても大事なことだと思います。

―知識とご経験の幅からなんですかね、本当にいつでも適切な回答をされますよね。やっぱり自分にはそれはできなくて、どうしたらそうなれるのかと思うばかりです。

中村:
ですが、直井さんと話していると僕の回答は正論過ぎて本当に正解なのかというとそうじゃないと思うことも多いですね。直井さんの考えに最初は「えっ」と驚くこともありますが、最終的になるほどと思わされることが多いです。僕は役割的にも、これまでの経験の中から一般的に正しいと思うことを発言します。それに対して直井さんは、一般的にどうかではなく、本質的にどうなのか、むしろ一般的ではない逆の見方をすることで、今までにないやり方を考え、BEENOSらしい判断がそこに加えられていく、そんなディスカッションをよくしています。

―知識と経験どちらからくるものでしょうか?

中村:
経験だと思います。知識は僕よりもコーポレートのメンバーのほうが多いですね。証券会社でやっていたIPOの仕事は、特定の人や会社だけではなく、全方位の方を良い方向に持っていく判断をしなくてはいけないものでした。株式市場から見たらどう見えるのか客観的に考える癖をつけて判断するように育てられました。そこが僕の強みであり弱みでもあるかと思います。

 

見えている課題に対しての判断がその場しのぎなのか、中長期的な経営視点なのか


―コーポレートメンバーも経営者視点を持つことが非常に重要だと日々痛感しています。経営者視点を持ったコーポレート人材になるために何を心がければ良いですか?

中村:
こういう知識を学んだらいいというのはなくて、自分が経営者だったらと考えながらやることで身に着けていくものかなと思います。教わることでもないし、自分で考えてやれるかどうかですね。忙しすぎると自分の部門のことだけになったり、処理するだけになってしまいがちですが、一歩俯瞰して「自分がCEOだったら」「自分がCFOだったら」どうするのかと常に意識して考え、答え合わせをしていく。自分はこう思ったけど実際の直井さんや中村さんの判断はこうだった、というふうに。答え合わせすることでセンスを磨いていくのかなと思います。

―経営者視点を持つ、持たないの違いによって何が変わるでしょう?

中村:
経営者視点を持っていないとその場しのぎというか、今抱えている目の前の課題の解決方法しか見えません。経営者はその次にどう進んでいかなくてはいけないかを先を見て判断していく必要があります。そういう違いがあると思います。何か見えている課題に対しての判断がその場しのぎなのか、中長期的な経営視点なのかという違いですね。


―中村さんは代表権を保たれていますが、代表取締役になる前と後で何か変わりましたか?

中村:実際、僕の中では何も変わってないです。佐藤さんが社長だった時、佐藤さんは2011年くらいから海外での投資先の発掘のために海外で動き回っていることが多くて、僕が佐藤さん不在時の日本を任されて代表権を持って副社長になったんですね。でも代表権の有無に関わらず僕の姿勢は変わってないです。代表権を持つ前から、ステークホルダーに対しては代表としての意識を持っていました。
社長が直井さんに変わってからも代表権を持って副社長をやっていますが、代表権がないと仕事をやりにくいということはないです。代表権がなくてもスタンスは変わらないと思います。

ーあの、最後にポリシーを聞いてもよろしいでしょうか。(笑)

中村:
ポリシーは逃げないことですね。


ー我々も逃げず、様々な経験を積まないとですね。
本日は色々お話お伺いさせていただきありがとうございました。

 

Profile プロフィール

 
代表取締役 執行役員副社長 兼 グループCFO
コーポレート担当
中村 浩二 Koji Nakamura
 
 1990年、野村證券株式会社に入社しIPO部門にて10社以上の株式上場を手がける。
1996年からインターネット黎明期にネットベンチャーでの経験を経て、2001年には自身でコンサルティング会社を設立し、企業の上場支援や事業再生などを手がける。
2003年当社監査役就任、2004年当社ファイナンス子会社代表取締役社長、2006年から当社管理部門を統括し、2012年より当社代表取締役副社長兼グループCFOとしてグループ全体の管理部門を統括する。2020年、代表取締役 執行役員副社長 兼 グループCFOに就任。